許されたい
私は。
私は、という書き出しでものを書くことが苦手だ。私はメンヘラクソビッチだ。私は寂しがり屋だ。私は普段恋愛に淡白なふりをして激情を隠している。そのどれも真実なのだが、いかんせん主張が強すぎるような気がしてしまう。私は、から話を始める女のことが、私はあまり好きじゃない。でも誰かに私はこういう人間だと主張して、それを許されたいと思っている。だから主語を省略して私という人間を声高に叫んでいる。
刹那的な人間だ。ロマンチストだ。処女っぽい願望がたくさんある。ビッチっぽい願望がたくさんある。許されたい。
漠然と、許されたい、と思っている。過去の罪とか、現時点で抱いている後ろ暗い感情とか、そういうものではなく、もうただ漠然と。私は誰かに許されたい。母性を求めているんだろうか。
生存を承認されたい。生きていて良いよ、そのままで良いよ、そう言って欲しい。悪いところは叱ってくれた上で、味方でいて欲しい。
昨日一緒に飲んだ先輩に帰りがけ、君がその猫を被ったままでいられる方法がないのだろうか、と悪気なく言われた。死にたいと思った。
私はどうやら許されなかったらしい。私は清楚系女子の皮を被り、神経を擦り減らしてその鉄壁の仮面を崩さないでいないと許されない。誰も私を愛さない。
誰か私を許して欲しい。こんなところで無為に感情を垂れ流しているみっともない私を。